リファレンス

細胞培養リファレンスライブラリ

各培地・緩衝液・試薬が実際に何であるか — 組成、用途、そして代替品との違い。カタログのためではなく、実験台のために書かれています。

Media and formulations

化学組成既知培地(CD培地)

化学組成既知培地(CD培地)とは、含まれるすべての成分について化学的な素性と濃度が判明している細胞培養用の培地です。血清、タンパク質加水分解物、組成不明の抽出物は一切含みません。ただしタンパク質を含まないという意味ではなく、配列と濃度が特定されたリコンビナントタンパク質であれば添加できます。「化学組成既知」と「無タンパク質」が同義ではなく別の区分として扱われるのは、このためです。化学組成既知培地は血清に伴うロット間差、外来性感染因子のリスク、規制対応の負担を取り除けるため、CHO、HEK293、ハイブリドーマを用いたバイオ医薬品製造では標準的な培地になっています。

RPMI 1640 培地

RPMI 1640 は、1966 年に Roswell Park Memorial Institute でヒト白血球の浮遊培養用に開発された基礎培地です。グルコース 2,000 mg/L(11.1 mM)、炭酸水素ナトリウム 2,000 mg/L(23.8 mM)を含み、後者は 5% CO2 の雰囲気に合わせた緩衝になっています。リン酸が約 5.6 mM と高く、カルシウムは約 0.42 mM と低いのが特徴で、さらに還元型グルタチオン、ビオチン、ビタミン B12、パラアミノ安息香酸、ヒドロキシプロリンという独特の成分を持ちます。リンパ球、ハイブリドーマ、そして浮遊馴化した造血系・リンパ系細胞株の大半にとって標準の培地であり、通常は 10% のウシ胎児血清を加えて使います。

α-MEM(MEM アルファ)と最小必須培地 MEM

α-MEM(MEM アルファ)は、Eagle の最小必須培地 MEM に非必須アミノ酸をすべて加え、さらにピルビン酸ナトリウム、リポ酸、アスコルビン酸、ビオチン、ビタミン B12 を加えた培地で、リボヌクレオシドとデオキシリボヌクレオシドを含む版と含まない版が供給されます。塩の組成は MEM と同じで、炭酸水素ナトリウム 2,200 mg/L が 5% CO2 の雰囲気に合わせてあり、グルコースは 1,000 mg/L、カルシウムは 1.8 mM です。間葉系間質細胞、骨髄培養、骨芽細胞、CHO-DXB11 と CHO-DG44 の選択、そして多くの初代細胞にとって標準の培地です。HAT 選択やメトトレキサートを用いる選択系では、ヌクレオシド不含版でなければなりません。

DMEM — ダルベッコ改変イーグル培地

DMEM(Dulbecco's Modified Eagle Medium)は、Eagle の最小必須培地(MEM)のアミノ酸とビタミンの濃度をおよそ4倍に高めて派生させた基礎培地です。高グルコース(4,500 mg/L、25 mM)と低グルコース(1,000 mg/L、5.6 mM)の2種類が供給され、3,700 mg/L の炭酸水素ナトリウムで緩衝されます。生理的な pH を保つには、血清または組成既知の添加物と CO2 環境が必要です。HEK293、HeLa、NIH/3T3、Vero、CHO 由来の接着培養、そして多くの初代線維芽細胞にとって、DMEM は標準の培地です。

Reagents and buffers

Contamination and quality control